勤務終わりに「ズーン…」その腰、現場の“型”が作っていませんか?(この記事でわかること)
「移乗のたびに腰が重い」「ナースステーションで立ちっぱなしの後がつらい」——心当たりがあるなら、原因は“動きの型”と“回復不足”の掛け算かもしれません。
強い運動で押し切るより、〈短時間×高頻度〉でフォームと環境を整える方が現実的なんですよ。
この記事の要点(中身のみ)
- 介助・看護の現場で起きやすい“腰に集中する力”の正体
- 交代勤務でも続く30〜40秒セルフケアと、夜の回復づくり
- サポートベルトの賢い使い方と受診の線引き
ここからは、まず全体像を持っておくと迷いません。
流れの見取り図はこちらで段階別にまとめています。
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チェックのあとに、実装のポイントも続けます。
たとえば“移乗前に30秒だけヒップヒンジの型を通す”“ラウンド終わりに胸をひらく”など、忙しい現場でも差し込める形に落としていきます。
結論:現場で効く“30秒×3”——合図で整える〈胸・骨盤・ヒンジ〉(概要)
結論はシンプルです。
①胸をひらいて呼吸を通す、②骨盤を小さく転がして力みを抜く、③前かがみは“腰で曲げず股関節で折る”。
ヒップヒンジとは? 腰を丸めず、股関節を軸に体をたたむ動きのこと。
これをラウンド交代・バイタル記録・申し送りの“合図”に合わせて、各30〜40秒で回します。
まず“ひと口サイズ”の手順。
30秒×3のやり方
- 胸ひらき10秒×2:壁や手すりに手を置き、肩を下げて胸をふわっと前へ。呼吸を鼻からゆっくり。
- 骨盤コロコロ前後各10回:立位でも座位でもOK。前で吸う→後で吐くで力みをほどく。
- 支えありヒップヒンジ8回:ベッド柵やカウンターに手を添え、股関節から軽く前傾→戻る。“荷重は脚で押す”が合言葉。
夜勤・長時間勤務で崩れやすいのは“回復”。
就寝1時間前は画面をオフにし、枕は中央薄め・サイド高めで寝返りの通り道を確保。
これだけでも翌朝のこわばりが変わります。
詳しい寝姿勢のコツは下記で確認できます♪
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具体的な基礎テクニック|移乗・体位変換・立ち仕事の“型”をやさしく統一
「患者さんを起こすたびに腰がズーン…」——それ、前かがみ+ねじりで“腰一点集中”になっているサインです。やることはシンプルで、〈近づける→高さを合わせる→股関節から折る〉の三本柱にそろえるだけ。
移乗とは?
準備(10〜15秒)
- ベッド/車いすの高さを“自分の膝〜大腿の中間”に合わせる。
- 患者さんを自分に近づけ、胸をひらいて鼻から2呼吸(力み取り)。
- 足幅は骨盤幅+半足ぶん。つま先はやや外へ向け安定をつくる。
step
1ヒップヒンジで前傾し、滑らせる意識に置換
腰を曲げず股関節を軸に上体をたたみます。“荷重は腕ではなく脚で押す”を合言葉に、シート/滑走補助具で“持ち上げる”を“滑らせる”に置き換えます。呼吸は鼻からゆっくり。
step
2ねじりは小さく・同方向で
肩と骨盤の向きをできるだけそろえ、必要な回旋は“滑らせながら少量”。持ち上げてから大きくねじるのはNG。
step
3立位介助は“胸骨の前で近接保持”
相手の体幹を自分の体に近づけ、脚で床を押して起こす。腕力で引っぱらないのがコツ。
立ち仕事の合間ケア(各10〜15秒)
- 壁胸ひらき→肩を下げて2呼吸。
- 骨盤コロコロ(立位で前1秒/後1秒)各5回。
- かかと上下10回(ふくらはぎポンプ起動)。
ベルトは“動く時間の補助輪”。締めすぎは呼吸を浅くするので避け、就座・就寝では外します。外した後は骨盤コロコロで自力の支えも呼び戻しましょう。選び方は比較ページが参考になります。
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背景と現状分析|“前かがみ×ねじり×回復不足”が積み重なる理由
「筋トレ不足だから?」——答えは“それだけじゃない”。
移乗・体位変換・長時間立位は、前かがみとねじりが同時に起きやすく、腰に“回す力”が集中しやすい動作構造です。
交代勤務は睡眠が不規則になり、夜の回復が削られて“こわばりの持ち越し”が起こる…。
だから、日中の小分けケア+夜の回復設計が近道なんですよ。
モーメントとは?
数字の視点も持ちましょう。
働き世代の腰の不調が上位に挙がり、長時間の座位・立位や身体活動の不足が関連要因とされる傾向は、公的調査からも読み取れます。
現場では“力で持ち上げる”より“近づけて滑らせる”への発想転換が実効的。
つまり、〈高さ調整→近接→股関節主導(ヒンジ)〉の順番さえ守れば、同じ作業でも腰への一点集中をほどけます。
線引きも明確に。
鋭い痛み、脚のしびれ・脱力、排尿排便の異常、発熱を伴う痛みは自己判断で続けず、受診の目安を確認してください。
夜は枕の“中央薄め・サイド高め”で寝返りの通り道を確保し、就寝1時間前の画面オフで回復を仕込みましょう。
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応用編:夜勤・季節・現場配置で“腰の増幅装置”をオフに
「夜勤明け、腰が固まっていませんか?」——交代勤務は〈体温リズムの乱れ×座りっぱなし記録×前かがみ介助〉が重なりやすい環境です。
合図は“申し送り前・ラウンド後・仮眠明け”。各30〜40秒で、胸ひらき→骨盤コロコロ→浅めヒンジをサッと通すだけでも、夕方のズーンが和らぎます。
強く伸ばすより“気持ちいい範囲”を守るのが原則です。
現場配置は“高さと近さ”が命。
物品台は肘の少し下、PCは目線やや下へ調整。吸引・点滴準備は“体に近づけてから”行い、遠い台に手だけ伸ばす癖をやめると、腰の一点集中が外れます。
季節対応のミニコツ。
冬は〈温め→動く〉で首・お腹・仙骨を軽く保温→合図ケアへ。夏は〈冷やし過ぎ回避〉で冷房直下を避け、背面に薄手のカーディガンを一枚。
仮眠後は“再起動ルーティン”。
壁立ち呼吸2回→かかと上下10回→浅めヒンジ5回を固定しましょう。
より深掘りしたい方は下記も役立ちます。
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失敗しやすいパターンと改善策|“量より順番・気合いより仕組み”
「体操は増やしているのに変わらない…」——多くは設計の問題です。
まず“順番”を固定しましょう。前=環境(三点セット:視線やや下・足裏フラット・台は肘少し下)、中=姿勢リセット(胸ひらき→骨盤コロコロ)、後=動作(支えありヒンジ→近づけて脚で押す)。
“トリガー固定+順番固定”が続けるコツです。
よくあるNGと置き換え
- 遠い台に手だけ伸ばし続ける→台を10cm近づける/自分が10cm近づく。
- 移乗で“持ち上げてから大きくねじる”→滑らせながら小回りの回旋に置換。
- 夜勤明けにストレッチをまとめて長時間→“胸ひらき→骨盤コロコロ→浅めヒンジ”の40秒代替に。
避けたい動きと代替案の整理には下記が便利です。
【関連記事】:腰痛を悪化させる運動・避けるべき動作一覧
FAQ(よくある質問)
Qサポートベルトは勤務中ずっと着けてOK?
A基本は“動く時間の一時的サポート”。就座・就寝は外し、外した後は骨盤コロコロで自力の支えも呼び戻しましょう。
Q夜勤の仮眠後に体が固まる…何をすれば?
A壁立ち呼吸2回→かかと上下10回→浅めヒンジ5回の“再起動30秒”がおすすめ。気持ちよい範囲で小さく行います。
Q受診の目安は?
A鋭い痛み、脚のしびれ・脱力、排尿排便異常、発熱を伴う痛みは中止して受診を優先しましょう。線引きは下記が参考になります。
【関連記事】:受診の目安・危険サイン早見表
まとめ:要点3つ+行動提案(介助・看護の現場で続く腰ケア設計)
勤務終わりの「ズーン…」は、〈前かがみ+ねじり〉に“持ち上げ動作”が重なる現場特有の負荷と、交代勤務で削られがちな“夜の回復”が合体して起きやすい反応です。
だからこそ、重い筋トレよりも、業務の流れに合わせて〈30〜40秒の小さな介入〉を点在させ、夜は“寝返りしやすい環境”を用意する設計が現実的なんですよね。
公的調査でも働き世代の腰の不調は上位の悩み。つまり“合図に結びつける仕組み化”こそが翌日の体を軽くする近道です。
要点3つ
- 近づける→高さを合わせる→股関節から折る(ヒンジ)。“腕で引く”をやめ、脚で床を押す発想へ。
- 45〜60分ごとに“胸ひらき→骨盤コロコロ→浅めヒンジ”を各10〜20秒。量より回数。
- 就寝1時間前の画面オフ、枕は中央薄め・サイド高めで寝返りの通り道を確保。
今日からの行動提案(すべて30〜40秒設計)
- 申し送り“前”に胸ひらき×2、骨盤コロコロ前後各10回。
- ラウンド“後”に浅めヒンジ5回でフォームを再起動。
- 移乗“前”は〈近づける→高さ合わせ→滑らせる〉を声出し確認。
- 詰所の台は“肘の少し下”、PC画面は目線やや下に設定。
- 夜勤明けは入浴→水分→短時間仮眠。寝具は“寝返りの通り道”を1cm単位で調整。
道具の賢い使い方(必要なときだけ、補助輪として)。
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